最強のビジネスモデル、リ●ナビ

最近、2年前に就職した同級生や知人の転職をよく耳にする。ときには入社してわずか数ヶ月で「やりたい仕事ではなかった」と仕事を辞めていく同世代の若者たち。


年長世代はこれを、「我慢して続けてみることが大事だ」と批判したりする。だが、若者の根性のなさを批判していればすむ問題なのか?


「就活は上手くいかない方が、転職というさらなる商機が増える」。今週の「週刊金曜日」に、マーケティング・プランナーの谷村智康氏がこんなコラムを書いている。企業と学生のマッチングが上手くいかない方が、 第二新卒市場がもうかる、という指摘だ。


だいたい、企業が主催する数回の説明会や面接で「やりたい仕事」が見つかるわけがない。そんなことはリ●ナビも百も承知で、GW頃には「リ●ナビNEXT上で第二新卒者歓迎の求人を検索できます」


このように「第二新卒」市場は究極のマッチポンプである。誰が考えたんだこのビジネスモデル。最強やな…


お気づきのように、リ●ナビは企業しか見ていない。自社にお金を落としてくれるのは就活生ではなく、顧客である企業だからだ。


私も就活中、大学と就活会社が共催する「自己アピールセミナー」を受講したことがある。表向きは「学生のため」と謳いながら、実際は4時間弱のうち1時間半が参加企業のPRタイムだった。で、いつの間にかその企業にエントリーさせられている。ちなみにセミナー内容は全く覚えていません就活友達もできませんでした。これは私が悪いけど。


このように、「優良企業」を集めた合説や「内定を勝ち取る面接セミナー」も、本当は学生のためではない。全て顧客企業のエントリー数を増やすため。就活イベントは「学生ホイホイ」に過ぎないのである。


リ●ナビによって入社した社員が、そのシステムに由来する動機で転職していくとすれば、企業にとってもこれほど皮肉なことはない。自社の採用をリ●ナビ経由でおこなうことによってこそ、新入社員が辞めていくのかもしれないからだ。就活支援サイトが“支援”するのは、一体何なのだろう。